メディカルレチナ(Medical Retina)分野
~網膜の滲出性変化に対する抗VEGF療法~

経験と知識の豊富な専門家による治療マネジメント

抗VEGF療法(薬物の硝子体内(眼内)注射)

加齢黄斑変性は50歳以上の1%以上が罹患すると言われ、中心視力を脅かすことから読書や運転などに影響し、健康長寿の妨げとなりかねません。一方、高度近視に伴う近視性脈絡膜新生血管は、若年者にも起こり、進行が速いことが特徴です。糖尿病では糖尿病網膜症の一種である糖尿病黄斑浮腫を生じることがあります。網膜症が軽くても黄斑浮腫をきたすことがあり、糖尿病を持つ方の約7.5%と高頻度に起こり得ます。高血圧などの影響で生じる網膜静脈閉塞症は、40歳以上の2%が発症すると言われる頻度の高い病気です。これらの病期も黄斑部網膜に影響が及ぶと歪んで見えたり、視力が低下したりします。
いずれも抗血管内皮増殖因子療法(抗VEGF療法)という抗VEGF製剤の硝子体内注射による薬物療法を行います。病状に応じて適切な追加投与をすることが、長期にわたり良い視力を維持するために重要です。
藤田医科大学羽田クリニックでは、この治療に長年携わってきた経験と、世界的な動向を踏まえた最新の知識を元に、治療を進めます。また、これらの病気以外にも、血管病変や浮腫などの病的状態に対し抗VEGF療法が効果を持つと考えられるときには、行うことが可能です。




眼底写真(左から順に)
加齢黄斑変性では網膜の中心である黄斑に病的な新生血管を生じ、そこからの出血や血液成分の漏れ(滲出性変化)をきたします。そのため中心が歪んで見える、中心がグレイ~黒く見える、などの症状をきたします。
近視性脈絡膜新生血管では黄斑部に生じた脈絡膜からの病的な新生血管が、黄斑部の網膜に影響して、歪んで見えたり視力が下がったりします。
糖尿病黄斑浮腫では黄斑部網膜に血管内の水分が漏れて浮腫を来すと共に血液成分も漏れてきて網膜に沈着して、視力を脅かします。
網膜静脈閉塞症では黄斑に出血と浮腫が及ぶと、歪んで見えたりぼやけたりします。

治療例:網膜の光干渉断層計(OCT)画像(加齢黄斑変性)

抗VEGF療法前、病変による網膜色素上皮の盛り上がりと、それによる網膜下の滲出性変化があります(下図)。


抗VEGF療法後には滲出性変化が消失しました(下図)。


また、加齢黄斑変性は生活習慣などの影響を受けやすい病気であり、発症以前からドルーゼンなどの前駆病変(加齢黄斑変性の予備群)が見られることがあります。このような発症リスクのある方では特に、発症以前から気を付けておくべき点があります。
藤田医科大学羽田クリニックでは、精密検査を行い、これまでの研究結果をもとに最大限健全な状態に近づけるためのアドバイスを行います 。


 ※担当医師:小沢(教授)