栄養検査に基づいた
“プレコンセプション“検査

“プレコンセプションケア”とは

栄養検査に基づいた “サプリメント診断”、 適切な栄養及び生活指導を行います。

“プレコンセプションケア”とは、プレ(〜前の)+コンセプション(受胎、いわゆる妊娠)。妊娠を目指すにあたって必要な健康管理のことを意味します。妊娠する準備として、まず生活習慣や患者さまご自身の体質を見直すことが重要です。私たちは初診時に必要な栄養採血を行い、採血結果に基づいて、本当に患者さまに必要な栄養素は何かを把握し、“サプリメント診断”や適切な栄養指導を行います。また体重管理や生活習慣指導を通して、妊娠しやすい身体作りをサポートします。

プレコンセプション検査が、どのような方に適している検査であるか

・現在、妊娠を希望されている方
・将来、妊娠を望んでいる方

治療について

妊娠には健康的な生活習慣、栄養摂取が必要不可欠です。当院では初診時に、妊娠に必要な様々な栄養検査(採血)を実施し、今何が不足しているのかを客観的に評価いたします。採血結果に基づいて、食物からは摂取が困難な栄養素も適切な“サプリメント診断”を行うことにより、患者さまが本当に必要なサプリメントをご提案します。肥満あるいは痩せすぎは不妊のリスク因子です。食事や運動指導により、生活習慣を見直すことで、適切な体重管理を行います。
また、将来妊娠を考えている方も、今から妊娠に備える準備が必要です。例えば、妊娠前に食事からでは十分な葉酸を摂取することはできない葉酸をしっかり摂取することは、将来生まれてくる赤ちゃんの神経閉鎖障害(二分脊椎など)の予防になるとされています。当院では葉酸値など妊娠に必要な栄養を測ることにより、将来赤ちゃんが健康に産まれるためのサポートを行いますが、治療の効果には個人差がある場合がございます。

プレコンセプション検査料金について

初診料(55,000円)
※栄養検査が含まれます。

タイミング療法

タイミング療法とは

妊娠を目指す患者さまが検査で異常無ければ、最初に受ける治療であり、経験豊富な産婦人科医師が診察を行います。

タイミング療法とは、患者様の排卵日を経腟超音波検査や排卵検査薬を用いて、正確に予測し、最も妊娠しやすい時期にタイミング(性交渉)をはかっていただく治療です。

タイミング療法が、どのような方に適している治療であるか

・妊娠を望まれているが、妊娠されない方
・避妊をせずに、半年以上、妊娠されない方
・月経不順でご自身では排卵のタイミングが分からない方

治療について

最も妊娠しやすい時期は排卵日当日の2日前と言われています。超音波検査や排卵検査薬を用いると、正確に排卵日を予測することが可能となり、事前に排卵日を予測し、排卵日前からタイミング(性交渉)をとっていただけるよう指導いたします。特に、月経不順や排卵遅延の方はご自身では排卵日のタイミングが分かりにくいため、本治療を受けることにより適切な性交渉のタイミングを知ることができます。
また月経不順の方は排卵障害(排卵していない)の方も多く、当院では排卵誘発剤(内服薬あるいは注射薬)を用いることにより、排卵障害の方でも卵胞発育を促し、確実に排卵できるよう治療を行います。
※排卵誘発剤を用いることにより、複数の卵胞が発育した場合、腹満感などが生じる卵巣過剰刺激症候群が起きる場合がございます。

※排卵日からの日数別妊娠率(Human Reproduction Vol.17,No5,pp1399-1403,2002より改変)

タイミング療法の料金について

約8,400円
※超音波検査や再診料を含む
※保険診療の場合は3割負担となります。

人工授精

人工授精とは

経験豊富な医師が正確に排卵日を予測し、人工授精を実施します。

人工授精とは排卵日に合わせて、洗浄濃縮した精子を子宮内に注入する治療です。

人工授精が、どのような方に適しているか

・タイミング療法を行なっても妊娠されない方
・精液所見が良くない方
・勃起障害(ED)、膣内射精が困難な方
・抗精子抗体が弱陽性の方

治療内容について

人工授精は排卵日前日から当日に実施することが重要です。排卵日の数日前に来院いただき、超音波検査や排卵検査薬を用いて、正確に排卵日を予測し、人工授精の実施日を決定します。人工授精当日はご自宅で精子を採取していただくか、当院のメンズルームを利用して、院内での精液採取も可能です。採取した精液は特殊な遠心により良好な精子のみを濃縮し、子宮内に注入します。人工授精の所要時間は約1分程度で、当院では熟練した医師が実施しますので、ご安心ください。
また月経不順の方は排卵障害(排卵していない)の方も多く、当院では排卵誘発剤(内服薬あるいは注射薬)を用いることにより、排卵障害の方でも卵胞発育を促し、確実に人工授精ができるよう治療を行います。排卵障害がない方にも妊娠の確率を高めるために、排卵誘発剤を使用する場合があります。
※排卵誘発剤を用いることにより、複数の卵胞が発育した場合、腹満感などが生じる卵巣過剰刺激症候群が起きる場合があります。また複数の排卵が起きた場合には、双胎など多胎が生じる場合があります。

人工授精の治療料金について

約27,000円
※当日の精子調整や再診料含む
※保険診療の場合は3割負担となります。

高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)、胚移植

高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)、胚移植とは

高度最新技術を駆使した胚培養

生命現象は卵子の中に一つの精子が入って始まります。生殖医療では、卵巣から卵子を採取した後、卵子と精子を受精させるために体外受精または顕微授精を行います。卵子を入れた培養液に一定数の精子を加え(振りかけて)、自分たちの力で受精させる方法が“体外受精(IVF)”、精子をガラス管で吸引し、直接卵子に注入して受精させる方法を“顕微授精(ICSI)”と呼びます。受精卵(“胚”とも呼びます)は体内を模した培養環境のもとで、分裂を行い、採卵からおよそ5日目に胚盤胞と呼ばれる時期にまで成長します。胚は患者様の状況に合わせた、適切なタイミングで子宮内に移植します。
藤田医科大羽田クリニックでは、体外培養の成績に影響するとされる、培養液の選定、受精方法、培養、移植、凍結融解方法など、全ての工程で様々な工夫を凝らし、患者さまが少しでも早くご妊娠に近づけるよう努めます。

どのような方に適しているか

体外受精(IVF)が適している方
・卵管性不妊症(卵管閉塞など)
・男性不妊症
・免疫性不妊症 (精子不動化抗体陽性など)
・原因不明不妊症
顕微授精(ICSI)が適している方
・男性不妊症(精子数が少ない、異常が多いなど)
・IVFによる受精障害(卵子の形態異常など)
・精巣精子あるいは精巣上体精子を用いる症例

治療内容について

卵巣から卵子を採取(採卵)した後、体外受精または顕微授精を行い、卵子と精子を受精させます。受精の方法は体外受精と顕微授精の2つあり、医師とご相談のうえ決めていただきます。
体外受精(IVF)は、シャーレの中で良好運動精子を卵子にふりかけて受精させ、高度生殖補助医療の中では最も自然の受精に近い方法です。顕微授精(ICSI)は、細い針を使って精子1つを直接卵子の中に注入する方法です。

子宮鏡下手術・卵管形成術(日帰り手術)

子宮鏡下手術・卵管形成術とは

経験豊富な産婦人科専門医が“日帰り”で、子宮鏡下手術・卵管形成術を行います。

子宮鏡下手術は、膣から細径のカメラを子宮内に挿入し、子宮内のポリープや粘膜下筋腫を摘出する手術、卵管形成術は卵管鏡により閉塞した卵管を再開通させる手術です。いずれも入院の必要はなく、患者様のご都合に合わせて、全て日帰りでの手術が可能です。

着床不全・不育症に関する検査・治療

子宮鏡下手術や卵管形成術が必要な患者さまはどんな方か

子宮鏡下手術
・子宮内膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫の方

卵管形成術
・片側あるいは両側の卵管が閉塞または狭窄している方

治療内容について

<子宮鏡下手術>
子宮内膜ポリープ(有茎性の小さなポリープ)の場合は、子宮鏡により外来受診時に診察室で摘出することが可能です(スネア法)。疼痛を伴う頸管拡張は必要なく、約10分程度の時間で実施可能です。通常、麻酔は使用しないため術後すぐにお帰りいただけます。希望があれば、事前に鎮痛剤を使用することは可能です。上記以外の子宮内膜ポリープおよび粘膜下子宮筋腫の場合は、手術室で子宮鏡下手術を実施します。事前に1〜2時間程度の頸管拡張が必要となります。手術の際には静脈麻酔を行い、術後、回復室でお休みいただいてからのご帰宅となります。手術には30分〜1時間程度の時間を要します。

<卵管形成術>
卵管鏡を用いて、細いバルーンを卵管内に挿入します。徐々に閉塞あるいは狭窄部位にバルーンを挿入・拡張させることにより、卵管の再開通を図ります。当院は確実に卵管鏡を卵管内に挿入できるよう、子宮鏡を併用します。85 %以上の症例で再開通が期待されます。

手術料金について

子宮鏡下手術 約270,000円 
卵管形成術(片側)約653,000円
※卵管形成術は、高額療養費制度の対象
※保険診療の場合は3割負担となります。

着床不全・不育症に関する検査・治療

着床不全・不育症とは

妊娠はされるが、流産を繰り返している方向けの検査

受精卵を子宮内に移植しても着床に至らない状態を着床不全といいます。良好胚を3回移植したにもかかわらず着床しない状態をとくに反復着床不全といいます。また、妊娠するけれども2回以上の流産もしくは死産を繰り返してしまう状態を不育症といいます。2回続けて流産した状態を反復流産といい3回以上続けて流産した状態を特に習慣流産ということもあります。着床不全・不育症となった方には次のような検査から適切なものを提案いたします。
■着床不全に関連した検査
子宮内膜側
・子宮鏡検査
・慢性子宮内膜炎検査
・子宮内フローラ検査
・子宮内膜着床能(ERA)検査
・凝固能検査(PT、APTT、フィブリノゲン、アンチトロンビン)
・免疫能検査
・ビタミンD検査
・甲状腺ホルモン検査
・耐糖能(糖尿病)検査
・Th1/Th2免疫細胞比
受精卵側
・着床前遺伝学的検査
■不育症に関連した検査
・自己抗体(ループス・アンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体IgG/IgM、抗β2GPI抗体IgG/IgM、抗CL・β2GPI複合体抗体、抗フォスファチジルエタノラミン(PE)抗体IgG/IgM)
・凝固因子検査(第XII因子凝固活性、プロテインS抗原量/活性、プロテインC抗原量/活性)
・絨毛組織の染色体検査
・夫婦それぞれの染色体検査

着床不全・不育症検査が、どのような方に適しているか

・体外受精における胚移植などで妊娠に至らなかった方
・妊娠が成立しても流産を繰り返してしまう方

治療内容について

着床不全検査は内容によっては検査のための準備が必要となる場合があります。子宮鏡検査はファイバースコープで子宮の中を覗く検査で子宮の形に異常がないか、子宮内膜の表面に炎症がないかを調べる検査です。生理が終わったころから排卵までの間に行います。一部の子宮形態異常では別途子宮鏡による手術を行うことで妊孕性を高めることができます。
慢性子宮内膜炎検査、子宮内フローラ検査は子宮内から子宮内膜組織検体を採取する検査で排卵の時期周辺(避妊周期であれば排卵後でも可能)で採取を行います。慢性子宮内膜炎の診断となった場合には抗生物質の治療を行います。子宮内フローラ検査の異常に対しては菌のバランスを整えるサプリメントを紹介いたします。
子宮内膜着床能(ERA)検査は、避妊周期で黄体期5日目(あるいはホルモン調整周期の黄体ホルモン剤開始後5日目)の子宮内膜組織を採取する検査で、内膜の着床準備状況が評価されます。原則、体外受精によって受精卵を得られる方が対象です。この検査で異常となった場合は受精卵の移植のタイミングを適切なタイミングにコントロールします。
凝固能検査、免疫能検査、ビタミンD検査、甲状腺ホルモン検査はどのタイミングでも可能な採血の検査です。耐糖能(糖尿病)検査は食事を控えていただいて行う検査で数時間かかります。これらの検査の結果から抗凝固剤、免疫抑制剤、ビタミンDサプリメントでの治療が可能です。(ただし一部の検査結果において明確な治療法が確立していない項目もあります。)
甲状腺検査の異常や耐糖能(糖尿病)検査の異常は内科への紹介を行う場合もございます。
着床前遺伝学的検査は受精卵の一部の細胞をとって正常な遺伝子かを調べる検査ですので、体外受精を行い受精卵が獲得できた場合に行うことができる検査です。検査の結果から遺伝学的に正常の受精卵のみを子宮内に移植します。
不育症の検査である絨毛組織染色体検査では、流産検体(妊娠中に胎盤の一部として存在する絨毛という組織)の染色体を知る検査です。この検査では流産した理由が児の染色体異常であったかどうかを知ることができます。異常のパターンによっては、上記の着床前遺伝学的検査を行って対応することも可能です。

デメリット、副作用について

・慢性子宮内膜炎検査、子宮内フローラ検査、子宮内膜着床能(ERA)検査は子宮内に検査器具を入れるため、ごくまれに子宮内感染がおこる可能性があります。
・着床前遺伝学的検査では、検査によって受精卵が損傷する可能性や細胞数が不十分で解析ができない可能性があります。また、検査結果によって移植できる受精卵が1つもない可能性があります。
・絨毛組織染色体検査では、結果によっては対応ができない場合があります。

男性不妊治療

男性不妊治療とは

経験豊富な泌尿器科生殖医療専門医が診察及び手術を実施しています。

不妊症の原因の約半数は男性側にあると言われています。当院では、女性だけでなく、パートナーである男性の診察・治療を並行して行うことにより、ご夫婦揃って、一貫した治療を受けていただくことが可能です。
また手術が必要な場合、当院の男性不妊手術は入院の必要がなく、患者様のご都合に合わせて、全て“日帰り”での手術が可能です。

男性不妊治療が、どのような方に適しているか

・全ての不妊患者様の男性パートナー
・特に精液所見が不良な方、勃起障害(ED)など性交渉に悩みを抱えている方

治療内容について

<男性不妊の診察>
当院では経験豊富な泌尿器科生殖医療専門医が診察に当たります。初診時には精液検査だけでなく、ホルモン検査(採血)、超音波検査(精索静脈瘤の確認)、触診(睾丸容積、精索静脈瘤の有無など)を実施することにより、総合的に男性パートナーの状態を評価します。
精索静脈瘤は自覚症状がない場合も多く、精液所見の良い悪いにかかわらず、不妊治療を開始する際に、一度は泌尿器科生殖医療専門医の診察を受けることを当院ではお勧めしています。

<男性不妊の治療>
検査結果に合わせ、専門医が適切な治療を提案します。内服や注射製剤を組み合わせて使用することにより、精液所見が改善する場合があります。また男性用サプリメントや生活習慣の改善にも積極的に取り組み、妊娠に向けた男性のトータルな健康管理をサポートしています。

<男性不妊の手術>
当院では以下の男性不妊手術を“日帰り”で実施しています。お仕事が忙しく、なかなか時間が取れない方でも最低限の治療期間で手術治療を受けていただくことが可能です。

精索静脈瘤手術について

精巣(睾丸)から流出した細かな静脈(つる状静脈叢)が次第に合流して内精索静脈となります。この内精索静脈の血液が逆流して、血液が鬱滞した状態が「精索静脈瘤」です。精索静脈瘤は男性不妊症の原因になると考えられています。

精索静脈瘤手術について
精索静脈瘤の原因である内精索静脈を糸でしばり、逆流しないようにする治療が精索静脈瘤手術です。精索静脈瘤手術には、血管を鼠径管より上で切断する高位結紮術と、鼠径管より下で切断する低位結紮術があります。当院では、再発や合併症の頻度が少なく、手術創部が小さく痛みも少ない低位結紮術を実施しています。

精索静脈瘤手術の適応
診察にて、グレード3(見てわかる:陰嚢が凸凹している、腫れている)、グレード2(触ってわかる:腫れている)、超音波検査で精巣周囲の静脈の太さ3mm以上が複数または2.8mm以上が多数ある方

精索静脈瘤手術以外の手術について

精巣内精子採取術(TESE)、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)
いずれも患者様の精巣から精子を回収する手術です。 射精にて精子を認めない患者様でもこの手術により精子を回収できる可能性があります。術前には、Y染色体上の無精子症因子(AZF)領域の微小欠失がないか採血による遺伝子検査も考慮いたします。

手術の適応
精巣内精子採取術(TESE)
閉塞性無精子症(精子は作られているものの、精子の通り道に原因がある)の方と重度の射精障害の方

顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)
非閉塞性無精子症(精巣での精子を作る機能が低下)、高度乏精子症、高度精子無力症の方

料金について

精索静脈瘤手術 約175,000円 
精巣内精子採取術(TESE) 約174,000円
※保険診療の場合は3割負担となります。
顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE) 約345,000円
※保険診療の場合は3割負担となります。

自家多血小板血漿(PRP)あるいは自家間葉系幹細胞(MSC)を用いた不妊治療

PRPあるいはMSCの卵巣内および子宮腔内投与とは

不妊症難治例に再生医療が福音となる可能性があります

卵巣内投与
ご自身の血液からPRPを作製、あるいはご自身の腹部脂肪組織からMSC樹立し、それらを静脈麻酔下に経腟超音波で観察しながら卵巣内に注入することで、採卵できる卵の数や質の改善を期待する治療です。

子宮腔内投与
子宮腔内にカテーテルを挿入し、PRPあるいはMSC懸濁液を子宮内腔に注入することで、その後の周期で、子宮着床環境の改善、着床率の増加が期待されます。

どのような方が適しているか

卵巣内投与
早期の卵巣予備能低下および卵巣機能不全(早発閉経):採卵できる卵子数が少ない場合、あるいは卵子数は問題ないものの、良好胚まで発育しない場合などが対象になります。

子宮腔内投与
反復着床不全あるいは子宮腔内癒着(アシャーマン症候群):良好胚を2回以上胚移植しても妊娠に至らない場合を反復着床不全と言います。子宮内膜が卵胞ホルモンを投与しても厚くならず、菲薄化がある方も対象になります。さらに、子宮腔内癒着による不妊症や月経異常なども対象になります。

治療内容について

多血小板血漿(PRP)とは、自己血液から高濃度血小板分画を単離して作製されます。血液より3~5倍濃厚な血小板が含まれ、800種類以上の成長因子を含むと報告されています。通常のPRPでは5~10倍の成長因子が含まれるとされますが、ロート製薬とともに当センターが提供するPRPには約25倍の成長因子が含まれます。これらの成長因子は細胞の増殖・成長を助けるため、子宮や卵巣の再生に効果を発揮します。着床不全に対して、子宮内にPRPを投与することで、慢性子宮内膜炎を消炎し(Li J, et al. Front Cell Dev Biol. 2023)、流産率が減り妊娠率が向上します(Deng H, et al. J Obstet Gyneacol. 2023)。着床率は1.50倍、妊娠率は1.96倍、生産率は1.45倍上昇し、流産率は0.40倍とされます。また、アシャーマン症候群に対する有効性に関しても多数の論文報告があります(Rodríguez-Eguren A, et al. Hum Reprod Update 2024)。
一方、卵巣内PRP 投与は、22~100% の方が月経周期を改善したと報告されています。女性ホルモンが増加し、卵巣予備能パラメーターを改善させるため、卵巣刺激による採卵成績も改善されます。妊娠結果に関しては、自然妊娠率を7.4%~10%に増加させる可能性があります。早発卵巣機能不全の方がこの治療を受け、採卵が可能になれば、妊娠率は22.8%と報告されています(Moustaki M, et al. Front Reprod Health. 2023)。
間葉系幹細胞(MSC)は組織の炎症を抑えたり、組織を再生させる力を持っています。そのため卵巣や子宮の機能を改善させる可能性があります。当クリニックでは、自己脂肪組織を採取し、ロート製薬が引き継ぎMSCを樹立します。脂肪由来MSCは免疫原性が低いことや、血管新生増殖因子など多くのサイトカインを分泌することなどが示されており、子宮内投与によって、子宮内膜の厚さや癒着を改善し、胚移植による妊娠率を向上させる効果が報告されています(Goncharova Y, et al. J Stem Cell Ther Transpl. 2019; Lee SY, et al. Reprod Sci. 2020)。  一方、卵巣投与についても卵巣刺激に対する反応性(発育卵胞数)の改善や成熟卵の採取数の向上が報告されています (Zafardoust S, et al. Stem Cell Rev Rep. 2020)。
当クリニックでは行っていないMSCの静脈内投与(点滴)では、血栓症が原因と思われれる副作用が数例報告されていますが、MSCの子宮あるいは卵巣投与では血栓症例の報告はなく、静脈内投与より安全な治療と考えられます。

再生医療の治療料金について

多血小板血漿(PRP)
卵巣投与 240,000 ~ 480,000円
※左右それぞれの卵巣に対してPRP注入
子宮投与 240,000 ~ 480,000円
※1周期あたり2回のPRP注入

間葉系幹細胞(MSC)
卵巣投与 1,980,000 ~ 6,600,000円
※左右それぞれの卵巣に対して約2000万個MSCの注入を1~2回
子宮投与 1,980,000 ~ 6,600,000円
※1周期あたり約2000万個MSCの注入2回を1~2周期